Malcolm Gladwell 氏による The Tipping Point を読んだ。この本は、あるアイデアや口コミが一気に広がる劇的瞬間(Tipping Point)を感染に例えながら分析・解明する。著者によると「劇的瞬間」が起こるにあたって三つの法則が挙げられるという。
第一は「少数者の法則」。「感染」の裏には特別な能力を持つ少数者が存在するというのだ。その能力とは多くの人とつながりを持つ Connector 、専門的な知識を持つ Maven 、そして並外れた説得力を持つ Salesman の三種類に分類される。こうした一握りの例外的な人たちの働きによって口コミなどは「感染」されるという。
第二は「粘りの要素」。情報の表現や伝達の方法を工夫して覚えやすくすれば、当然その情報は「感染」し易くなる。
第三は「背景の力」。これは壊れた窓の存在が犯罪を増加させるという「壊れた窓」の法則と似ている。つまり、状況は人間の行動を変える鍵であるという考え方だ。これを一歩進めると例えば人間の性格など不変であると考えがちな特性も実は外部環境に決定されているかもしれないということになる。「感染」の広まりにはこの「状況」が大きな鍵となる。
「少数者の法則」、「粘りの要素」、そして「背景の力」の三要素が満たされた時、アイデアや口コミなどは一気に広まる。もしその情報の表現の仕方が少し違ったり、または違う人によって情報が伝えられたり、または状況が少し違ったりした場合、その情報は「感染」しなかったかも知れないという。
結論で著者は情報社会においての Maven の重要さに触れている。情報量が増え、テクノロジーによる電話やEメール等のネットワークが広がるにつれ、我々は情報を選択せざるを得なくなる。そのプロセスに大きな役割を果たすのが「少数者」、特に Maven だと言う。