第一印象は最初の数秒間で決まると言われるが、その数秒間に何が起こっているかを探るのが Blink だ。第一印象は正しい時もあれば間違っている時もある。それではどのような状況で直感に頼るべきで、どのような状況で頼るべきではないと解析できるだろうか。Blink はその答えを探る。
必ずとは言えないが、まず一般的には自分の経験のある分野、または専門的な分野においては瞬間的に正しい判断を下せる確立は高い。これは過去の経験から、その瞬間に得た膨大な情報を瞬時に整理することができるためだと言う。例えばアメリカに住んだ事のない人がアメリカン・フットボールの試合を見ても、最初は何が起こっているのか殆ど分からないだろう。しかし多くの試合を見たりルールを勉強したりすれば、次第に何が重要で何が重要でないか判断できるようになる。その積み重ねが瞬間的な判断力を高める。
面白いのは、「何が重要で何が重要でないか判断する」ということは、つまり決定的な要素さえ含まれていれば情報量は少ない方が良いという事だ。現代の情報化社会において情報量は増える一方だが、その膨大な情報をどのように処理するかが大切であることが分かる。ある研究結果によるとプロセスする情報が増えればそれに基づく判断の正しさへの自信は増えるが、その判断の正確性そのものは殆ど変わらないという。
それではどのような状況では直感に頼れないだろうか。Blink はブロンクスで起きた白人警官によるアフリカ系移民アマドゥ・ディアロの悲劇的な射殺事件を取り上げ、緊迫した状況下では正しい判断を下すことが難しくなると説く。これは動物は危機に面した時、生き残るために有用な情報の処理のみに集中するためだそうだ。
もう一つ「直感の弱点」として Blink は視覚を挙げる。これを Gladwell はウォーレン・ハーディング効果(ハンサムだが無能な大統領に投票してしまう行為)と呼ぶ。例えば同じくらい歌の上手な歌手二人を見た場合、歌手として見栄えの良い方の歌唱力を過大評価してしまうことはよくある。これは歌手だけでなく、スポーツ選手や俳優などにも当てはまる。
Blink ではこの他にも色々な考え方や物語が紹介されている。The Tipping Point と同様、面白くて意外と読みやすい本だ。